この話は、スプラッタな描写が多々あります。
また、基本的に当人同志はよくても、傍目から見ると、救い様の無い不毛な、もしくは痛過ぎて正視に耐えないような関係を書いております。
当人同士の間では、これも一つのハッピーエンドですが、悲恋物と取られる方もいらっしゃるかもしれません。
スプラッタが平気で、こう言うのもありだなと容認して下さる、酸いも甘いもかみ分けたお嬢様お姉様のみ、お読みになることを推奨いたします。































‥‥血が、赤い。コイツは、まだ、生きている。死んでなんかいない。熱くて、赤い。まだ、大丈夫だ。まだ、まだ‥‥。



寝台と、クローゼットその他もろもろ、ちょっとした家具つきワンルームマンションの一室にも似た、でも、それよりは遥かに広い面積と上質の調度を備えた部屋の真ん中に、血の海が広がっていた。
海の真ん中には、半ば切断された腕を抑えている、17,8歳に見える栗色の髪の娘。浮かべる表情は苦悶とも歓喜を噛み殺しているようともとれる、不可思議なもの。娘は口を開くと、何か言おうとした。
その時、閃光が、彼女の脚を一閃した。がくりと膝が折れ、同時に鮮やかな赤い飛沫が宙に舞う。緩慢な動きで、娘は自らが作った血の海へと倒れこむ。
その傍らには、小さな、と言っても、彼女と同じ位の大きさはありそうな黒い影。影は、手にした日本刀に良く似た反り身の刀を一振りして、刃についた血糊を飛ばし、鞘に刀を収める。そして自分の足元に広がっている真っ赤な池と、その中に浮かんでいる娘を見下ろした。自分を見下ろす小さな黒い影に向かって、娘は通常の人間なら、激痛と出血でショック死しかねない状況になっているにも関わらず、にっこりと微笑んだ。
「飛影‥‥今度はいつ、来るの」
飛影、と呼ばれた影は、彼女の問いを沈黙で返した。
「あんまり‥‥長い間、こないと、待っていられないかも、知れないから」
「‥‥‥治れば、来る」
「そう。じゃあ、蔵馬に頑張ってもらわなきゃね」
「‥‥‥。あいつの手を煩わすのは止せ」
「しょうがないでしょう‥‥蔵馬以外で、この傷をすぐに‥‥治せる人の心当たりは無いもの」
飛影は、その言葉を聞くと、力一杯嫌そうな顔をした。
「後は‥‥躯さんだけど‥‥怪我の治療まで‥‥お願いしちゃうと、しばらく、動けなくなるから、それは、パスしたいし」
その言葉に、飛影はもっと嫌そうな顔をした。
「じゃ、私、蔵馬、呼ぶけど、いっしょにいる?」
「断る」
脊髄反射の様に即答すると、飛影はあいていた窓から姿を消し、は、諦めたように、ポケットの中から、防犯ブザーの様に見える機械を取り出すと、ボタンを押した。

コメントと言う名の言い訳
こう言うのもありだなと思っていただけることだけを祈っています。不毛以外の何者でもないんで(自爆)
一応設定の補足をしておくと、連載終了後からさらに100年ちょっと位経った辺りの話です。原作で『人間』だった人達は、もう寿命が来て死んでしまってます。なぜ、貴女だけ生きているかはこれから分かります。‥‥多分。