The Moon 『月』
タロット大アルカナ18番目のカード。
正位置のキーワードは
不安な影 見えざる敵 ぐらつく信念 不名誉なレッテル 不安に絶えず脅かされる 裏切り 自分の心が自分で分からなくなる

逆位置のキーワードは
徐々に晴れる迷いの心 誤解が解ける 全て0からやり直してみよう 不安な状況の好転 取り戻す自分 待つゆとりから育む愛 

月は心を移す鏡。人間の秘められた欲望と心に巣食う不安を映し出す。悩まされる不安と欲望に悩まされる弱い人間の姿。だが、清明な月の光は欲望と不安を消し去る浄化の光でもある。
ゆえに、『月』のカードは、不安と浄化を意味し、象徴する。


The Temperance 『節制』
タロット大アルカナ14番目のカード。
正位置のキーワードは
無理をしなくてもくつろげる相手 意見の交換 心と心の通い合い 日常生活からの重要発見 心と肉体の練磨 忠実 中庸 純粋な愛情

逆位置のキーワードは
無感動になる 足踏みしてる間に何もせずに終わる 時間の浪費 消耗 健康管理の悪さ なれあいで失敗 マンネリ化 節度のなさ
いいかげんな態度 小心 

天界からの厳しい戒め。試練の後に知る、大いなる宇宙の意思と、素晴らしい英知の獲得。錬金術において『節制』のカードは『さらに上なるものへの転換』を表し、心と肉体の練磨を示唆する。だが、このカードは、理性で納得していても現実には難しいと言うことも示している。




力が、欲しい。
何よりも、誰よりも強い、不可能なんか無い位。強い強い力が。


「南野さん。お母さんの容態ですけれど、実は‥‥」
「‥‥そう、ですか。そんなに、そんなに母の容態は悪かったんですね‥‥」



「‥‥どう言う事ですか?! 私で決まりだって、間違いないって、ずっと前から言ってたじゃないですか?!」
「‥‥すまん。だが、分かってくれ。今のお前よりも、あやつの方が、より適任だと、霊界が判断した結果、そうなった」
「どうしてなんですか?!理由を聞かせて下さい!納得の行く理由を聞くまで、私、認めませんから!!」



「私達も全力を尽くしますが、ですが、最悪の事態が起こる事も十分ありえます。気をしっかり持たれて下さい。ご家族の看病と励ましが、何より大切ですから‥‥」
「はい。分かってます。頑張りますから、先生。母を、母をよろしくお願いします‥‥」


人間よりも優れた力なら、たくさんあるのに。なのに、どうして。
どうして、『大切な人』の命を救う事すら、オレには出来ないの?



「選ばれた3代目って、『素質』の片鱗すら直前まで分からなかった、全くのど素人じゃないですか!その上、単細胞の馬鹿だし!あんな馬鹿の素人に、私のどこが劣るってゆーんです?!」
「確かに素人だし馬鹿だが、潜在能力と『素質』に関して言えば、飛びぬけたものを持っておる。鍛えれば、お前に匹敵、いや、お前を超える働きをする可能性が十二分にある」
「じゃあ、私の今までの実績って何です?! 選ばれるだけの働きも、実力も、私は今まできちんと示してきたし、これからもそう出来ます!!百歩譲って、たとえ、将来的に向こうが私を超える事があるとしても、今の実力は、私の方がはるかに上だわ!」


どうして、私じゃないの?私が『選ばれる』はずだったのに。
何が足りないの?足りないものなんか、無いのに。能力(ちから)も実績も、実力も、全部全部足りてるのに。



「‥‥‥1000年生きてて、あんな病気一つ癒せないなんて、妖孤蔵馬の名が聞いてあきれるよ。そんな事も出来ない位、オレは無力だったなんて」


そうだ。オレは無力だ。病に苦しむ母親を前にして、オレの人外の力は、何の役にも立ちは、しない。



「‥‥私が選ばれなかったのって、向こうが男で、私が『女』だから選ばれなかったとか、もしかしてそう言う理由なんですかっ?!」
「‥‥年寄りの中には、そう言う事を言った者がいないとは言わん‥‥。初代は寿退職しとるしな」


『女だから』そんなくだらない理由で、私を切るなんて、そんなの、認めない。納得できない。
絶対に、間違ってる。
男だとか、女だとか、そんなの関係無いじゃない。
必要なのは、力があるか、無いか。能力があるか、無いか。そんなのに性別なんか関係無い。
それに、男だろうが女だろうが、私に匹敵する力の『精霊使い(エレメンタラー)』は殆どいない。
今まで、私を必要だと言って、ありがたがってたくせに。



「ごめんなさいね秀一。母さん、病気になんかなってしまって‥‥」
「そんなこと無いよ。それよりも、早く病気を治そう。ね。早く元気になってよ。母さん」


ごめんなさいを言うのはオレの方だ。オレに力が無いばっかりに、母さんはこんなに苦しんでる。
お願いだから、そんな顔をしないで。無理に笑わないで。オレにもっと力があれば、こんな病気位、すぐに治してしまえるのに。



「だが、おぬしが選ばれなかった理由は、もっと別にある」
「別の理由って何です?答えてください!!!」
「‥‥今は答える訳にはいかん。今の状態のお前に言っても理解も納得もできまいて」
「そんなことありません!言って下さい!分かりますよ。私馬鹿じゃありませんから!!」
「馬鹿とか利口とか、そう言う問題じゃない。冷静に人の話し聞けん今のおぬしじゃ、説明するだけ無駄じゃ」
「何で、無駄だなんて言うんですか!教えて下さい!」
「いいから、今日はもう帰れ。頭が冷えたら、その時、理由はちゃんと話してやる」


どう言うこと?私の何が。何がいけないの。ちゃんと教えてよ。
あんな、あんな、『普通の人間』に毛のはえた程度の素人よりも、私の力が劣ってるって言うの?
私の『居場所』はここなのに。『普通の人間』じゃない私が、『普通の人間』のふりをしなくても、私が私のままでいる事の出来るのは、ここしかないのに。
ここにいれないんなら、私の居場所なんか、世界中、どこにも無い。
力が欲しい。私を見てもらうための。認めてもらう為の。
誰が見ても、文句なんかつけられない、強い強い力が大きな大きな力が欲しい。
そうすれば。私はまだ、ここに必要だと言ってもらえる。




これは、昔のオレに対する報いなの?初めて守りたいと、大切だと思った母親(ひと)を守る事すら許されないなんて。
何も出来ない無力さに打ちひしがれて、ただ、母さんが緩慢に死へと向かって行くのを見守ることしか出来ないなんて。
もっと力が。力が欲しい。母さんを助けることの出来る力が欲しい。
何も出来ないなんて、そんなのは嫌だ。



だから。



「「‥‥力ガ、ホシイ 」」





  



コメントと言う名の言い訳
はい。始まりました。以前日記とかここのコメントでぷちぷち話してた、南野とヒロインの馴れ初め話、いよいよ連載スタートです。不定期連載(マテ)なので、次回のアップいつになるのか予定は未定ですが(ヲィ)今回は、プロローグってことで、短い上に意味不明です(笑)
謎のモノローグとかセリフが山のようにありますね(笑)これからどうなっちゃうんでしょう?
まだ、南野とヒロイン、お互い出会ってもいないし(笑)
トップのタロットの解説は、成美堂出版の天野義孝タロットカードより適宜抜粋要約して引用しております。南野とヒロインの象徴と言うかイメージなカードをピックアップしてみました。どちらもそれぞれのイメージピタリで個人的にはビンゴだと思うんですがどうでしょう?これを頭の片隅に入れておくと、これから先色々と深読みできて楽しいかもしれません(笑)