今日はもしかしたら厄日なのかもしれない。自分の目の前に座っている二十歳過ぎの娘――を見ながら、幽助はふとそんな事を思った。
唐突にふらりと屋台に現れたかと思うと、
「幽助、ラーメン食べさせて♪」と、のたまい、幽助が苦笑しながら作って差し出したそれを、うきうきと美味しそうに現在進行形で食してる姿は、本来なら客としてきてるのだから、金を払わなくてはいけない所を平然と
「(幽助の)おごりね(はぁと)」と宣言し、本人は一銭も払う気ナッシンなことを除いては、人畜無害、と言っても良い位害の無いもの――むしろ、美味しそうに食してもらっているのだから、作り手冥利に尽きる、のかも知れない。が、何と言うか、どーも漂っている霊気と言うか気配と言うかオーラがいつもと微妙に違うのだ。
機嫌は、多分良い。表向きは良い。顔を出した時に、差し入れ、と称して、コンビニ購入らしいカップ白熊とペットボトルのお茶を持ってきたくらいだから。今彼女が食べてる特製チャーシュー麺の代金には足りないのはご愛嬌だが。
でも、怖い。このどこか薄ら寒い妖気にも似たオーラはなんなんだ。てか、のお守りは蔵馬の役目であって、自分の役目ではないはずだが、そのお守り役は一体何処にトンズラしやがったんだろう。ほのかに漂うプレッシャーに耐え切れなくなって、幽助は口を開いた。
「あ‥‥えっと‥‥」
「ん?心配しなくても美味しいよ〜。幽助、また、腕上がったでしょ?前食べにきたときより、美味しくなってる。」
「マジ?」
「うん、マジ。今度、学校の友達連れて食べに来たげるね♪」
「で、話変わるんだけど、蔵馬どしたんだ?」
幽助から発せられた言葉を聞いた瞬間、はほんの僅か目を眇めたが、直ぐに元に戻すと、
「ん〜。最近忙しいみたい。私も全然会ってないんだ。ここしばらく」
何食わぬ顔で箸を動かしながら言った。
「すれ違いな毎日?」地雷を踏むかと内心ヒヤヒヤしつつ一言。
「そんなもんね。(もぐもぐ)連絡はとりあえず取れるけど」
さらりと流されて、幽助はほっと胸を撫で下ろした。
「どうせだったら一緒に住んじまえば良いじゃんか。そしたら、会えないとか何とかってのも無いぜ」
「今でも半分そーだとも言えなくも無いけどね‥‥(軽く溜息)‥‥ところで、幽助、今のそのセリフ、螢子ちゃんに向かっていえる?(にこにこ)」
「ぐはあ。それは勘弁(汗)」
あっさりと切り替えされた。ついでに言うと、笑いながら言ってるけどの目は笑っていない。更に言うと、微妙に漂っている妖気(もはやそうとしか形容が出来ない)が、濃くなったような気配すらする。
早いところ食べて、席をはずしてくれまいかと内心幽助は祈ってしまう。と言うか、お守り役早く来い。と言う心境。そして、幽助の祈りを神様が聞き届けたのか『お守り役』は、その姿をあらわした。
「よ。蔵馬」
内心安堵で脱力しつつも、幽助はつとめて普通に声をかけた。
「やあ、幽助。久し振り」
挨拶もそこそこに『お守り役』は、座って箸を動かしている娘に向かって声をかけた。
「やっと見つけたよ。さっきの事はオレが全面的に悪い。ごめん。本当に悪かったと思ってる」
「あら?お仕事で忙しいんじゃなかったの。蔵馬(にっこり)」
にこにこと笑いながら絶対零度のセリフ。その後は、シカトを決め込んで箸を動かす。
「‥‥機嫌、直してくれますか。君の言う事、今回は全面的に聞きますよ。オレが悪かったんだし」
「別に、機嫌悪くしてなんかいないわ」
つん、とすました口調。その身体からは、妖気としか表現しようの無い、冷たい気が漂っている。
「わがまま言ってもしょうがない事情があるんだから、わがまま言うべきじゃないと思っているだけよ」
の口からさらりさらりと紡がれる言葉と、反比例して下がっていく周りの気温と漂う妖気に、幽助は薄ら寒い物を感じて仕方が無かった。いつものじゃない。いつもだったら、ヒステリックと形容してもいい位、うるさくぎゃあぎゃあとわめいている所なのに。今日の落ち着き払った様子と行ったら何だ。
「あ、幽助」
不意に矛先が向けられて、幽助はぎょっとした。
「私、帰るね。ラーメンごちそーさま。美味しかったよ〜♪」
「そ‥‥そりゃどーも」
「今度は、約束した通り、学校の友達や後輩も連れてくるからね。可愛い女子大生てんこもりだよん♪」
「おう。期待してらあ‥‥(内心冷や汗)」
「お休み。幽助。螢子ちゃんにもよろしくね」
立ち上がって、すたすたと歩みだす
‥‥」
帰ろうとする恋人の名前を蔵馬は呼んだ。
「なあに」
「本当に悪かった。ごめん。だからいい加減、機嫌直して‥‥」
「蔵馬。だから言ってるでしょう。怒ってないって」
にこにこと絶対零度の笑顔。
「お仕事だったんでしょう。しょうがなかったんでしょう。だったら怒ってもしょうがないじゃない」
、だから、それは‥‥」
「私、眠いし、明日も早いから、帰る。明日、バーゲンに行こうねって、約束入れちゃったし」
「‥‥‥」
「じゃ、ね。おやすみなさい。蔵馬」
!」
ブリザードを撒き散らして帰るを引き止めることは、彼女の『大好きな人』である蔵馬でさえ出来なかった。いや、蔵馬だったから出来なかったと、この場合はいうべき、なのかもしれない。

コメントと言う名の言い訳。
幽助、ごめん、損な役回りで‥‥(汗)そして、幽助ファンのお嬢様お姉様ごめんなさい(平謝り)
二人の巻き添えくってます(汗)幽助のドリ書いて〜とリクエストが来たら、きっと彼にもいい目が回ってくると思います。ええ、笑って許して下さい。
そして、なつきちゃん怖いです(汗笑)
南野をここまでぐうの音も出ない位やっつけられるのも、貴方位‥‥(−w−;;
仲直りは当然出来ますので、今は勝利の快感に酔って下さい(ヲィ)